数字と報道
新しいデータが来ると、最初の予想はどう更新される?
未知の値についての事前分布に、観測したデータの尤度を掛け、全体が1になるように整えます。結果が事後分布です。最初の分布とデータを説明するモデルが違えば、同じ観測でも更新結果は変わり得ます。
基本の用語
新しいデータが来たとき、元の見込みを捨てるか残すかという二択ではありません。ベイズ更新では、未知量についての見込みと、その候補が観測をどの程度説明するかを合わせて考えます。ここでは、成功確率そのものが未知の場合を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 検査が陽性でも、病気のある人の割合が違うのはなぜ?「病気なら陽性」と「陽性なら病気」は分母が違う。
事前分布は、データを見る前の未知量を表す
事前分布は、データを見る前に未知の量の候補へ置く確率の分布です。候補が離散的ならそれぞれの確率を足して1にします。連続的なら確率密度を使い、範囲の確率を密度の積分で求めます。
連続分布の一点での密度を、その一点の確率と読むことはできません。また事前分布は必ず一つに決まるものでもありません。どの知識や仮定を表し、どの候補をどの程度重く見るかを明らかにして使います。
尤度で、同じ観測の出やすさを比べる
尤度は、観測したデータを固定した上で、未知量の各候補の下でそのデータがどの程度出やすいかを比べるものです。成功率が0.2の場合と0.8の場合で、同じ成功の観測の出やすさを比べます。これだけでは、観測後に各候補がどれくらいもっともらしいかという確率にはなりません。
例えば成功・失敗を扱う二項モデルでは、成功確率が一定で、その確率を条件に試行が独立するという前提があります。尤度の大きさだけを未知量の確率と読むのでなく、どのモデルでデータを説明しているかを確かめます。
事前と尤度を掛け、全体が1になるよう割る
事後分布は、各候補の事前の重みと尤度を掛けたものに比例します。離散的な候補ならその積の合計で割り、連続的な未知量なら積の積分で割ります。これにより、確率の全体が1になるように正規化します。
データをよく説明する候補でも、事前の重みが小さければ更新後の重みは積で決まります。逆に事前だけで結果を決めるのでもありません。掛ける二つの役割と、最後に割る全体の重みを分けると計算の意味が分かります。
次のデータでは、前の事後を事前として使う
同じ未知量について新しいデータが来る場合、前の事後分布を次の事前分布として更新できます。成功確率が一定で、条件付き独立の新しい試行を追加するモデルなら、この手順で観測を順に取り込めます。
ここで使うのは新しいデータです。既に使った観測をもう一度新しい観測として掛けると、その情報を二重に数えます。また途中で未知量自体やモデルが変わる場合まで、同じ更新式を無条件に使えるわけではありません。
同じデータでも、事前とモデルを明らかにする
同じデータでも、事前分布や尤度を決めるモデルによって事後分布は変わります。更新後の区間や確率だけでなく、使った事前と観測の前提を一緒に読む必要があります。
事前が強く特定の範囲へ集中している場合と、広く候補を認めている場合では、新しい観測が結果を動かす度合いも異なり得ます。モデルの下での未知量の分布と、そのモデルが現実に適しているかという問いを混同しないことが大切です。
- 事前とモデル
未知量の候補に重みを置き、観測の尤度を決める。
- 最初の更新
重みと尤度を掛け、全体が1になるよう割る。
- 次の更新
前の事後を事前とし、新しいデータだけを使う。
同じ未知量を扱い、採用したモデルの条件を満たす場合の手順。
二つの成功確率を更新する
架空の例
成功率の候補を0.2と0.8の二つに限り、最初はそれぞれの候補に確率0.5を置きます。成功を一度観測すると、重みは0.5×0.2=0.1と0.5×0.8=0.4です。合計0.5で割ると、成功率0.2の候補の事後確率は0.2、成功率0.8の候補の事後確率は0.8になります。
同じ成功率で条件付き独立の新しい成功をもう一度観測すると、重みは0.2×0.2=0.04と0.8×0.8=0.64です。合計0.68で割れば、成功率0.2の候補には1/17、成功率0.8の候補には16/17の確率を置くことになります。成功率の候補の値と、その候補に置く確率を分けて読みます。
持ち帰る見方
- 事前は未知量の重み、尤度は観測を説明する度合いで、掛けて正規化する。
- 逐次更新では新しいデータだけを使い、事前とモデルの条件を残す。
次に広がる疑問
- 条件付き確率で情報の向きを確かめる
- 推定の区間と予測の区間を比べる
- 繰り返し抽出による区間の考え方と比べる
出典
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 3 The Beta-Binomial Bayesian Model(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-3.html
確認日:2026-10-05
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 2 Bayes’ Rule(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-2.html
確認日:2026-10-05
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 4 Balance and Sequentiality in Bayesian Analyses(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-4.html
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
事前分布は、データを見る前の未知量を表す
事前分布は未知量が取り得る値と、その相対的なもっともらしさを表す。データを使う前に置く情報を、単一の予想値だけでなく分布として記す。
- 対象
- 未知の割合などを確率モデルで表すベイズ更新。例は同じ未知量に関する独立試行の模型。
- 条件
- 離散的候補では確率の和が1、連続量では密度の積分が1。事前に何の情報を入れたかを分ける。
- 例外・限界
- 連続分布のある点の密度を、その点を取る確率と読まない。
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 3 The Beta-Binomial Bayesian Model(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-3.html
尤度で、同じ観測の出やすさを比べる
尤度は観測したデータを固定し、未知量の候補ごとにそのデータの出やすさを比べる関数である。尤度が大きい候補でも、尤度だけをその候補の事後確率とは読めない。
- 対象
- 未知の割合などを確率モデルで表すベイズ更新。例は同じ未知量に関する独立試行の模型。
- 条件
- 未知の割合に対し成功回数を使う模型では、試行回数を固定し、各試行が同じ成功確率を持ち条件付きで独立とする。
- 例外・限界
- 対象や時点で成功確率が変わるデータ、依存した観測へ同じ二項模型を自動適用しない。
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 3 The Beta-Binomial Bayesian Model(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-3.html
事前と尤度を掛け、全体が1になるよう割る
事後分布は事前分布と尤度を掛けた重みを正規化して得る。離散的候補では全候補の重みの和、連続量では重みの積分で割って、全体の確率を1にする。
- 対象
- 未知の割合などを確率モデルで表すベイズ更新。例は同じ未知量に関する独立試行の模型。
- 条件
- 採用した事前分布とデータ模型の下で、正規化の分母が正で有限である。
- 例外・限界
- 尤度だけを合計1に直した結果が、どんな事前でも同じ事後になるわけではない。
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 2 Bayes’ Rule(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-2.html
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 3 The Beta-Binomial Bayesian Model(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-3.html
次のデータでは、前の事後を事前として使う
新しいデータが来ると、前のデータを反映した事後分布を次の事前分布とし、新しいデータの尤度で更新できる。元の事前から毎回やり直して前の情報を忘れる手順とは違う。
- 対象
- 未知の割合などを確率モデルで表すベイズ更新。例は同じ未知量に関する独立試行の模型。
- 条件
- 同じ未知量を、整合するデータ模型で逐次学習する。独立試行の例なら、未知の成功確率を固定し新しい試行を使う。
- 例外・限界
- 前のデータを反映した事後へ、同じデータを再び新しい試行として掛けると、その情報を重複して取り込む。
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 4 Balance and Sequentiality in Bayesian Analyses(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-4.html
同じデータでも、事前とモデルを明らかにする
同じデータを使っても、事前分布の値や強さが違えば事後分布は違い得る。事後の数字は、採用した事前情報とデータの出方の模型に条件を付けて読む。
- 対象
- 未知の割合などを確率モデルで表すベイズ更新。例は同じ未知量に関する独立試行の模型。
- 条件
- 同じ二項データに異なるBeta事前を組み合わせる場合など、事前と尤度の両方を明示する。
- 例外・限界
- 更新したというだけで、データ模型の妥当性や未観測の現実について無条件の保証が得られるわけではない。
Bayes Rules! An Introduction to Applied Bayesian Modeling — Chapter 4 Balance and Sequentiality in Bayesian Analyses(Alicia A. Johnson / Miles Q. Ott / Mine Dogucu(著者サイト))https://www.bayesrulesbook.com/chapter-4.html