国際関係
国どうしの紛争は、必ず国際裁判で解決しなければならない?
国連憲章は、対象となる紛争を平和的に解決することを求めますが、すべてを直ちに国際裁判へ送る一本の手続ではありません。当事者が選ぶ交渉・仲介・仲裁・司法的解決などの手段と、安保理による調査や勧告、解決できなかった後の付託を分けます。
基本の用語
交渉は当事者が話し合う方法、司法的解決は裁判の方法です。憲章第6章では、手段を選ぶ当事者と、平和・安全に関わる安保理の役割を一緒に読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 外交は、話し合う以外に何をする?交渉・条約と国内手続き
当事者が選ぶ平和的手段がある
第33条が扱うのは、継続によって国際の平和と安全の維持を危うくするおそれのある紛争です。その当事者は、まず平和的な手段による解決を求めなければなりません。対象の条件と、当事者が担う義務を先に確かめます。
条文は交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域の機関や取極の利用などを挙げ、当事者が選ぶ他の平和的手段も認めます。これらを順番にすべて一度ずつ行うという法定の工程表ではありません。
複数の手段があることは、紛争を放置してよいという意味でもありません。何らかの平和的解決を求める義務と、どの手段を選ぶかを分けます。安保理も必要と認めるとき、こうした手段で解決するよう当事者へ要請します。
調査と勧告は違う段階
第34条では、安保理は紛争や摩擦につながる事態を調査し、その継続が平和・安全を危うくするおそれを判断できます。調査の開始と、具体的な解決方法の勧告は別の働きです。調査したから一方の主張が確定したとは読みません。
第36条では、安保理は対象となる紛争等のどの段階でも、適切な調整の手続や方法を勧告できます。当事者が既に採った手続を考慮します。交渉があることを理由に安保理の役割が当然なくなったという説明にもなりません。
法律的紛争は国際司法裁判所の規程に従い、原則として当事者から同裁判所へ付託されるべきことも考慮します。ただし、この文言だけで規程上の条件を飛ばし、全案件の裁判管轄が自動的に生じたと結論しません。
解決できなかった後の付託を読む
第33条の対象紛争を示された手段で解決できなかった当事者は、第37条に従って安保理へ付託します。平和的手段の選択と、その後の付託を別々に追えば、「話し合いが止まった」という報道の後に確認する対象が見えます。
安保理が継続による平和・安全へのおそれを実際に認める場合は、第36条による行動か、適切と認める解決条件の勧告かを決めます。付託したことを、すでに最終的な解決条件が決まったことと一つにしません。
第38条には、全紛争当事者が要請する場合、安保理が平和的解決のため勧告できるという別の規定もあります。報道では、誰が何を要請又は付託し、安保理が調査・手続の勧告・条件の勧告のどれを行ったかを読みます。
会談の回数だけでは、どの義務や手続が進んだかは分かりません。対象となる紛争の性質、当事者の選んだ方法、未解決の状態、安保理の行為をつなげると、裁判か外交かという二択より具体的に段階を説明できます。
仲介を使う架空の紛争
A国とB国の紛争が第33条の対象になると仮定し、両国が平和的解決のため仲介を選んだとします。裁判へ直ちに送っていないことだけで、平和的手段を求める条文に従っていないとは判断しません。
仲介で解決できなかった後は、第37条の付託など次の段階を確認します。付託されたとの情報と、安保理が解決条件を勧告したとの情報は区別します。この例は特定の裁判所の管轄を決めるものではありません。
持ち帰る見方
- 選択する平和的手段、未解決後の付託、安保理の調査と勧告を分けて追います。
次に広がる疑問
- 外交の手段と成果を分ける
- 国際法が働く仕組みを読む
- 地域の仕組みを使う平和的解決へ進む
順番に読んでいる方へ
出典
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
当事者が選ぶ平和的手段がある
第33条の対象紛争の当事者はまず交渉・審査・仲介・調停・仲裁・司法的解決・地域機関等又は自ら選ぶ他の平和的手段による解決を求める。
- 対象
- 国連憲章第33–38条
- 条件
- 継続が国際平和安全を危うくするおそれのある紛争の平和的解決
- 例外・限界
- 第33条は全紛争一律の裁判強制でない。第36条の法律紛争はICJ規程に従う。全当事者の要請による第38条も区別。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
調査と勧告は違う段階
安保理は紛争等の継続が平和安全を危うくするおそれを調査し、所定の紛争等の各段階で調整手続方法を勧告できる。法律的紛争のICJ付託は規程に従う旨を考慮する。
- 対象
- 国連憲章第33–38条
- 条件
- 継続が国際平和安全を危うくするおそれのある紛争の平和的解決
- 例外・限界
- 第33条は全紛争一律の裁判強制でない。第36条の法律紛争はICJ規程に従う。全当事者の要請による第38条も区別。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
解決できなかった後の付託を読む
対象紛争を第33条の手段で解決できなかった当事者は安保理へ付託する。安保理は所定条件で第36条の行動又は解決条件の勧告を決め、全当事者の要請による勧告の規定もある。
- 対象
- 国連憲章第33–38条
- 条件
- 継続が国際平和安全を危うくするおそれのある紛争の平和的解決
- 例外・限界
- 第33条は全紛争一律の裁判強制でない。第36条の法律紛争はICJ規程に従う。全当事者の要請による第38条も区別。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/