財政と暮らし
国の貸借対照表は、予算書と何が違う?
予算書は、一年間にどのように収入を得て支出するかの計画です。貸借対照表は、年度末に持つ資産と負う債務などを示します。国の財務書類では、現金の動きと費用の発生も分けます。資産には道路や年金のための資金などがあり、帳簿の額を全て自由に使える現金とはみなせません。
基本の用語
ストックはある時点の残高、フローはある期間の収入・費用などです。貸借対照表の資産・負債と、一年間の歳入・歳出を区別して読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 国の予算は、どのように決まって使われる?予算案・議決・執行・決算
一年の支払いと、年度末の資産・負債を分ける
国が施設を建設すると、その年度にお金を支払い、完成した施設はその後にも残ります。支払った金額だけを示す表と、年度末に残った施設を示す表は、違う問いに答えています。予算だけで資産の残高は分からず、資産残高だけで今年の支払額も分かりません。
国の財務書類は、企業会計の発生主義や複式簿記を参考に、資産・負債の状況と費用・財源の状況などを示します。歳入歳出決算は現金の収入・支出を捉えますが、財務書類の費用では、資産の使用に対応する減価償却なども扱います。
したがって、国債の発行で現金が入ったことを、通常の収益と同じ財源として読むことはできません。借入による入金は負債の増加と対応します。国債元本の返済と利払いも、資産・負債や費用との関係が違うため、歳出の全額を同じ種類の費用とみなしません。
資産の額は、そのまま使える現金ではない
国の資産は現金・預金だけではありません。貸付金、有価証券、道路や河川などの有形固定資産、政策目的の出資なども含みます。使ってサービスを提供する資産と、回収を見込む債権を同じ現金残高のように扱わないことが要点です。
公共用財産の帳簿の額には、過去の事業費などから取得原価を推計し、減価償却相当額を控除して求めるものがあります。それは売却すれば必ず回収できる額ではありません。道路が資産として残っていても、その全額を明日債務の返済に使えるという意味にはなりません。
金融資産にも保有目的や対応する負債があります。財政融資の貸付回収金は、原則として対応する財投債の償還などへ向かいます。年金の積立金に関する資産は、将来の年金給付を支える目的があります。資産だけを取り出して、対応する債務や約束を消して考えないようにします。
資産と負債を合わせても、一つの数字で結論は出ない
資産と負債の両方を見ると、国債の残高だけより財務の構造を詳しく考えられます。それでも、一つの差額だけから将来の支払能力は確定しません。今後の税収や支出、金利、資産の使い方などの条件は、年度末の残高とは別に必要です。
資産の帳簿価額が増えた場合も、現金が同額増えたとは限りません。評価の変化なのか、新しい取得なのかを分けます。逆に、帳簿の額が減ったからといって、その年度に同額の現金を失ったとは決まりません。残高の増減と、収支の実績を対応させます。
国全体、一般会計、連結の範囲を合わせる
財務書類には、一般会計と特別会計を合算したものと、独立行政法人なども含める連結財務書類があります。表の対象が違えば、資産や負債の額も違います。ある年度の一般会計だけと、別年度の連結全体を並べた増減は、同じ範囲の比較ではありません。
また、公表時点と対象年度末は違います。後から公表された過去年度の残高を、現在の実測値へ読み替えないようにします。年度、会計範囲、評価方法、資産の保有目的をそろえると、予算書と財務書類を組み合わせて国の財政を読むことができます。
- 予算書
一年間の収入・支出の計画。何にいくら使うか。
- 貸借対照表
年度末の資産・負債。何が残り、何を負うか。
国の財務書類には、費用・財源など期間の動きを示す表もあります。
施設を造った年と、使い続ける年を分ける
架空の施設を100で取得し、説明用に10年かけて均等に費用を配分すると仮定します。取得した年の現金支払は100ですが、毎年の減価償却費は10です。支払と費用の時点が違うので、二つの表の数字は一致しません。
実際の国の資産ごとの償却方法や売却価格を再現した計算ではありません。残る施設の帳簿価額も、そのまま自由に使える現金とは扱っていません。
持ち帰る見方
- 予算・決算の収支と、年度末の資産・負債を分ける。
- 資産の帳簿価額は、全て回収可能な現金ではない。
- 対象年度と会計範囲、対応する負債や保有目的を読む。
次に広がる疑問
- 国の予算は、どのように決まって使われる?
- 一般会計と特別会計を足すと、国の予算総額になる?
順番に読んでいる方へ
出典
国の財務書類(省庁別、一般会計・特別会計)(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.html
確認日:2026-10-04
令和6年度 国の財務書類のポイント(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2024/point.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
一年の支払いと、年度末の資産・負債を分ける
国の財務書類は発生主義・複式簿記を参考にストックとフローを示す。
- 対象
- 冒頭/ポイント1・21~22頁
- 条件
- 一般会計特別会計、連結は別範囲
- 例外・限界
- 現金主義の予算/決算の歳出を業務費用と同一視しない。
国の財務書類(省庁別、一般会計・特別会計)(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.html
令和6年度 国の財務書類のポイント(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2024/point.pdf
資産の額は、そのまま使える現金ではない
国の資産には政策目的で保有し、即換金を想定しないものや対応する負債・給付目的を持つものが含まれる。
- 対象
- ポイント17~18頁
- 条件
- 道路河川等、貸付金、運用寄託金等
- 例外・限界
- 帳簿価額を売却額としない。全資産が使えないとの断定もしない。
令和6年度 国の財務書類のポイント(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2024/point.pdf
国全体、一般会計、連結の範囲を合わせる
国の財務書類は発生主義・複式簿記を参考にストックとフローを示す。
- 対象
- 冒頭/ポイント1・21~22頁
- 条件
- 一般会計特別会計、連結は別範囲
- 例外・限界
- 現金主義の予算/決算の歳出を業務費用と同一視しない。
国の財務書類(省庁別、一般会計・特別会計)(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.html
令和6年度 国の財務書類のポイント(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2024/point.pdf
国の資産には政策目的で保有し、即換金を想定しないものや対応する負債・給付目的を持つものが含まれる。
- 対象
- ポイント17~18頁
- 条件
- 道路河川等、貸付金、運用寄託金等
- 例外・限界
- 帳簿価額を売却額としない。全資産が使えないとの断定もしない。
令和6年度 国の財務書類のポイント(財務省)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2024/point.pdf