政治の仕組み

契約内容を勘違いした場合と、だまされた場合は同じ?

勘違いと詐欺は、どちらも一定の条件で意思表示を取り消す理由になります。ただし、勘違いの重要性、相手の認識、第三者の保護の条件は同じではありません。

基本の用語

意思表示は、申し込みや承諾など、法律上の効果を生じさせる意思を外へ示すことです。後から約束を守らない場合の解除とは、原因の生じる段階が違います。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

勘違いにも重要性と表示が必要

契約の申込みや承諾には、意思と表示がずれる勘違いと、契約の基礎にした事情について認識が真実と異なる勘違いがあります。民法はこれらを錯誤として扱います。ただし、誤りがあれば何でも取り消せるのではなく、法律行為の目的と取引上の社会通念に照らして重要であることが必要です。

例えば、ある機械に接続できることを基礎に部品を買う場合を考えます。その基礎事情についての錯誤を理由にするには、その事情が契約の基礎とされていることが表示されている必要があります。自分だけが内心で期待し、相手へ示していなかった事情とは区別します。

買った後に好みが変わったことと、契約時の重要な認識に誤りがあったことは違います。また、契約はしたものの相手が約束を守らない場合の解除とも原因が異なります。何を前提に意思表示をし、どこが真実と違い、その前提をどう示したかという順で整理します。

だました人が誰かを分ける

だまされて申込みや承諾をした場合は、詐欺による意思表示として取消しが問題になります。ここでは、だました人が取引の相手方なのか、それ以外の第三者なのかを分けます。詐欺という呼び名だけで、相手方の認識まで同じと考えません。

相手方以外の人が詐欺を行った場合、相手方が詐欺の事実を知っていたか、知ることができたときに限って、その意思表示を取り消せます。事情を知らず、知ることもできなかった相手との取引に、第三者にだまされたという説明だけで同じ取消しを適用することはできません。

強迫による意思表示も取消しの規定がありますが、詐欺の規定を全てそのまま当てはめるものではありません。また、契約後に価格が下がったり期待した利益が出なかったりしたことだけでは、詐欺が確認されたことにはなりません。契約時に誰がどんな説明をしていたかを確かめます。

自分の過失と第三者の保護

錯誤が本人の重大な過失による場合は、原則として錯誤を理由に取り消せません。ただし、相手方がその錯誤を知っていた場合や重大な過失で知らなかった場合、相手方も同じ錯誤に陥っていた場合には例外があります。本人の確認不足と相手方の認識の両方を見ます。

取消しには、さらに取引へ関わった第三者の権利の問題が残ります。錯誤又は詐欺による取消しは、事情を知らず、知らないことに過失もない第三者へ対抗できません。「第三者がだましたか」という前の節の問いと、「第三者の権利を守るか」という問いは、同じ言葉でも役割が違います。

善意は事情を知らないこと、無過失は知らないことに落ち度がないことを意味します。人柄の評価ではありません。取消しができる理由があることと、その取消しをどの人へ主張できるかを分けると、当事者だけの問題として整理しすぎずに済みます。

接続できる部品だと思って買った場合

架空の例

Aさんが「手持ちの機械に接続できることが購入の条件です」と売主Bさんへ伝え、部品を注文しました。実際は接続できず、その認識が取引の重要な基礎だったと仮定します。この場合、Aさんの基礎事情の錯誤と、その事情を表示していたかを検討します。

別の設定で、第三者CさんがAさんをだまして虚偽の仕様を伝えた場合は、Bさんが詐欺の事実を知っていたか、知ることができたかも問題になります。どちらも「接続できなかった」という結果は同じですが、勘違いの条件と第三者詐欺の条件は異なります。

持ち帰る見方

  • 重要な錯誤か、基礎事情を表示していたかを確かめる。
  • 第三者による詐欺では、取引の相手方の認識も条件になる。
  • 取消しの理由と、第三者へ対抗できるかを分ける。

次に広がる疑問

  • 申込み・承諾と、契約内容を記録する役割を確かめる
  • 意思表示の取消しと、不履行による契約の解除を比べる
  • 訪問販売等のクーリング・オフと取消原因の違いを読む

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • 民法(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

勘違いにも重要性と表示が必要

錯誤による意思表示の取消しには、法律行為の目的・取引上の社会通念に照らした重要性が必要。法律行為の基礎とした事情の錯誤は、その事情が基礎とされることを表示していた場合に限る。

対象
日本の民法(2026年6月24日施行の改正を反映した本則)。過去の行為では経過措置により適用される規定が異なる場合がある。
条件
意思と表示のずれまたは基礎事情の錯誤。
例外・限界
些細な誤記や表示していない内心の期待を一律取消しにしない。
  • 民法(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089

だました人が誰かを分ける

詐欺・強迫による意思表示は取り消せる。第三者が詐欺を行った場合は相手方がその事実を知り、または知ることができた場合に限り取り消せる。

対象
日本の民法(2026年6月24日施行の改正を反映した本則)。過去の行為では経過措置により適用される規定が異なる場合がある。
条件
第三者による詐欺と取引の相手方による詐欺を区別。
例外・限界
単なる将来の値下がりは詐欺の確認ではない。
  • 民法(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089

自分の過失と第三者の保護

錯誤が本人の重大な過失による場合は原則取消不可だが相手方の悪意・重過失または同一錯誤の例外がある。錯誤と詐欺の取消しは善意かつ無過失の第三者に対抗できない。

対象
日本の民法(2026年6月24日施行の改正を反映した本則)。過去の行為では経過措置により適用される規定が異なる場合がある。
条件
取消しの意思表示と期間は各条の条件を確認。
例外・限界
強迫の取消しを詐欺の第三者保護と同一にしない。
  • 民法(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089