政治の仕組み

一つの事業に複数の役所の許可が必要なら、誰が調整する?

複数の行政庁が関わる申請では、必要に応じて連絡や共同の説明聴取などで審査を促進する規定があります。他の申請が審査中というだけで自分の判断を殊更に遅らせてはいけません。ただし、全許可が一つの窓口で自動的に出る制度ではありません。

基本の用語

一つの事業に複数の許可が関わることと、一つの許可に複数の行政庁が関与することを区別します。ここでは行政手続法が適用される申請の、行政庁間の調整を扱います。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

他の申請が審査中でも殊更に遅らせない

行政手続法11条は、同じ申請者の関連申請が他の行政庁で審査中であることをもって、自ら行う許認可等の審査又は判断を殊更に遅延させてはならないと定めます。他の役所の審査中という説明だけで、自分の機関の仕事を無期限に止めてよいわけではありません。

この規定は、審査が完了していなくても必ず許可しなければならない、という意味ではありません。関連する法定要件や必要な資料の確認は、別に考えます。他の申請との関係が本当に審査上必要なのかと、単に判断を遅らせる理由に使っているのかを分けます。

進み具合を聞く際は、どの許可の、どの事項を確認中かを具体化します。「全部が終わるまで待つ」という答えだけでは、各行政庁が何を担当しているのか見えません。申請名、担当庁、提出日、現在の確認事項を並べると、待っている対象が明確になります。

共同で説明を聴くなど審査促進に努める

一つの申請、又は同じ申請者が出した相互に関連する複数の申請に複数の行政庁が関与する場合、必要に応じて相互連絡や共同の説明聴取などにより審査の促進に努めます。こちらは調整による促進の努力を求める規定です。

例えば同じ事業計画について何度も説明が必要なら、共同で説明を聴くことが調整の方法になります。ただし、法律は全案件で必ず同じ会議を開くとか、申請先を一つへ統合すると定めているわけではありません。連絡調整と、各庁の許可権限を分けます。

共同の説明会が開かれたとしても、すべての審査結果が同時に決まったとは言えません。そこで確認された事項と、まだ別の審査が必要な事項を区別します。調整の場があったことを、許可がそろったという結果へ読み替えないようにします。

各申請の根拠法令をそろえる

市役所、県の機関、国の機関という窓口の名前だけで、行政手続法の適用を一括して決めることはできません。自治体の条例又は規則に根拠がある処分には、同法の当該章を直接適用しないため、対応する条例などを確認します。

逆に、市役所が扱うという理由だけで、国の法律に基づく処分まで一律に適用外にはなりません。同じ事業の申請一覧でも、それぞれの根拠法令が異なり得ます。許可名と条項を担当庁ごとにそろえることが、調整を考える前提です。

比較するときは、審査を殊更に遅らせない規定と、連絡調整による審査促進の規定を分けます。義務の内容が違うからです。申請を出したこと、共同で説明したこと、各許可が出たことを別々に記録すれば、手続の現状を説明できます。

関連申請の状況を並べる
  • 行政庁A

    担当する許可と確認中の要件

  • 行政庁B

    関連申請の段階と必要資料

  • 連絡調整

    必要に応じた共同説明などで審査を促進

調整があったことと、各許可が認められたことは別です。

架空の二つの許可を待つ事業計画

事業者が同じ計画について、行政庁AとBへ関連する申請を出したとします。Aが「Bで審査中だから」とだけ説明して止めているなら、Aが自ら確認すべき事項は何かと、その遅延の理由を整理します。他の審査中という事実から、Aの審査が不要になるわけではありません。

必要に応じてAとBが共同で計画の説明を聴いても、その場で二つの許可が出るとは置きません。説明後にAは資料確認中、Bは判断済みというように、各申請の段階を分けて記録します。具体的な許可の可否は、この例の情報から決めません。

持ち帰る見方

  • 関連申請の審査中だけで殊更に遅らせない規定を知る。
  • 各許可の根拠と担当をそろえ、調整と結果を分ける。

次に広がる疑問

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  • 行政の決定に納得できないとき、何を争える?

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出典

  • 行政手続法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/405AC0000000088

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

他の申請が審査中でも殊更に遅らせない

行政庁は同じ申請者の関連申請が他の行政庁で審査中であることをもって、自らの許認可等の審査又は判断を殊更に遅延させてはならない。

対象
日本の複数行政庁の申請審査の促進と他申請を理由とする遅延。2026年10月7日現在。
条件
行政手続法11条1項。
例外・限界
関連する他の法定要件を無視して必ず先に許可するという規定ではない。
  • 行政手続法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/405AC0000000088

共同で説明を聴くなど審査促進に努める

一つの申請又は同じ申請者の関連する複数申請に複数行政庁が関与する場合、必要に応じ連絡や共同の説明聴取等により審査促進に努める。

対象
日本の複数行政庁の申請審査の促進と他申請を理由とする遅延。2026年10月7日現在。
条件
11条2項。
例外・限界
一つの窓口だけで全許可が完了する保証や全案件に共同審査を義務付ける規定ではない。
  • 行政手続法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/405AC0000000088

各申請の根拠法令をそろえる

自治体の条例・規則に根拠規定がある処分などには行政手続法の当該章を直接適用しない。

対象
日本の複数行政庁の申請審査の促進と他申請を理由とする遅延。2026年10月7日現在。
条件
3条3項、同法の適用範囲。
例外・限界
市役所で扱う国の法律に基づく処分まで一律に除外する規定ではない。
  • 行政手続法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/405AC0000000088